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ご挨拶

救急医療は「セーフティー・ネット」の一部

佐々木 淳一
佐々木 淳一
慶應義塾大学病院 救急科
教授・診療部長

救急医療は、安全な社会生活を守るために欠かせない「セーフティー・ネット」の一部です。

救急科は救急医療に関する病院の窓口であり、救急車で搬送されるすべての患者さんの診療を担当します。救急外来には24時間体制で救急科専門医が常駐し、重症度や年齢に関わらず、病気や外傷・熱傷・中毒などまで幅広く救命医療を含めて診療を行える体制が整えられています。

診療の結果、各診療科の専門治療が必要な場合には、迅速に各診療科の医師と協力して治療を行います。入院を必要とする場合には、救急科を含め、病気の種類に応じた専門治療を考慮した適切な診療科に入院します。自力で救急外来を受診した患者さんには、看護師がトリアージを行い、各診療科の医師が中心になり対応します。

また、当院は東京都災害拠点病院の一つに指定され、日本DMAT(Disaster Medical Assistance Team: 災害派遣医療チーム)指定医療機関にもなっています。

2020年を迎えて

平成と共に歩んで参りました救急医学教室は、昨年で創設30年という一つの節目を迎えました。皆様方より頂きましたこれまでのご指導・ご支援に改めて心より御礼申し上げます。

昨年、2019年は、多くの災害、事件、事故がありました。

自然災害では、8月の九州豪雨、9月の台風15号、10月の台風19号をはじめ、いくつかの地震もありました。

大事件・事故では、5月の川崎市登戸駅前での児童襲撃事件、7月の京都アニメーション放火事件、9月の京急線の衝突脱線事故などがありました。

さらに、6月のG20大阪サミットに関わる医療対応、9月から11月のラグビー・ワールドカップに関わる医療対応、10月の皇位継承式典に関わる医療対応、11月のローマ教皇来日に関わる医療対応などもありました。

我々をはじめ多くの協力施設の皆様も、救急・災害医療の現場に携わる者として、その対応に

力を尽くされたことと思います。

そして、本年2020年は東京2020(オリンピック・パラリンピック)が開催されます。
新国立競技場(オリンピックスタジアム)の直近医療機関として、我々大学スタッフも会場ならびに会場周辺のラスト・マイル対応も含めた医療対応に関わる重責を担うことになります。

これには人材の充実が欠かせません。幸いなことに、今年度は協力施設でのプラグラム登録も含め7名に優秀な専攻医を新たに迎えることができました。

さらに次年度も専攻医プログラム2年連続フルマッチで6名の新たな専攻医を迎える予定になっております。これも多くの皆様のご支援があっての賜物であり、この場を借りまして、厚く御礼申し上げます。

さて、2020年「令和庚子年(かのえねのとし)」の本年は、基(もとい)を為す現状を整え、先ず新しい視点で物事を考えてみる。 そして、積極的な考え方や心構えで、新しい物事を創造する事に取り組んで行く道を歩むことで、新たな成長を迎える年と言われています。

東京2020(オリンピック・パラリンピック)に向け、今後は予測不可能な事態に遭遇することも予想されます。 我々には「変化する状況や予期せぬ出来事に対して、柔軟かつ上手に適応し、影響を低減し、迅速に回復する力であるResilience」が必要な時期であると考えております。

これまで、第3世代の救急医に必要な3つの「C」であるCooperation(協働)、Challenge(挑戦)、Contribution(貢献)の重要性を強調して教室を運営して参りました。

さらにこのResilience加えた「3C+R」で、今後も教室員一丸となって診療・教育・研究に邁進していく所存です。 本年もよろしくご指導賜りますよう、重ねてお願い申し上げます。

2020年(令和2年)1月
慶應義塾大学医学部救急医学
佐々木 淳一

これからの救急医に必要な
“3つのC + R”

救急医はよく「医の原点」と呼ばれていますが、その歴史は世代ごとに進化してきました。

昭和40年代頃、いわゆる交通戦争と呼ばれる車による事故が多発した社会で、外傷外科に特化した重症患者の診療にあたったのが「第1世代」。次いで、北米型ERの導入をきっかけとして、軽症も含めた1次~3次救急のすべてを診察するようになった「第2世代」。

さらに、従来のER型救急診療を基本としながらも、来院前のプレホスピタルから救急外来、集中治療室での重症患者の治療まで一貫して引き受けているのが我々「第3世代」ということなります。

そして現代、日本中のあらゆる病院に「救急科」が設置されて来ていることでも分かるように、外科や内科とともに救急医学の専門性が社会でも認知をされてきました。

これからの救急医療を担う第4世代には、幅広い社会のニーズへ対応しながら、いかに「セーフティー・ネット」になりえるか、が強く求められてくると思います。

そのために当科では、未来を見据えたプロフェッショナルな人材を育成するため「3つのC + R」というスローガンを掲げています。

  1. Cooperation 協働
    救急現場ではチームで活動することが特に重要です。刻一刻と変化する状況の把握、他科との連携など、「協働」こそ救急医療の根幹を成すものです。
  2. Challenge 挑戦
    従来のやり方に留まらず、新しい方法や新しい道を模索し、創造していくべきと考えます。常に社会の先導者という意識で「挑戦」し続けることです。
  3. Contribution 貢献
    これからの救急医療はいかに社会のセーフティーネットとなりえるかが鍵となります。社会ニーズに応え、「貢献」出来る医師こそ我々の理想です。

  • Resilience 回復力
    今後は予測不可能な事態に遭遇することも予想されます。我々には変化する状況や予期せぬ出来事に対して、柔軟かつ上手に適応し、影響を低減し、迅速に回復する力が必要です。

《当科の紹介映像をご覧ください》

公開日:2018年5月27日 
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